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頭の痛い著作権 [雑記]

「著作権法の非親告罪化」で“同人作家”等に深刻なダメージか
今の動きをかいつまんで書くなら、「著作権法の非親告罪化」に向けた準備が政府機関によって進行しているいうことです。これまでも現在も、著作権侵害というものは「侵害されたと思う側」が民事裁判に提訴するなり、あるいは刑事告訴をしない限り逮捕することも裁判を起こすこともできない「親告罪」とされているわけです。
(http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_b72f.html) http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/977113.html


なんだかまたきな臭い流れに。

首相官邸のサイトよると、政府の諮問機関である知的創造サイクル専門調査会が「海賊版対策」としてこの問題を取り上げ始めたのは昨年11月の第8回会議が最初だそうです。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_b72f.html


その「知的創造サイクルに関する今後の課題」から
問題箇所を抜き出してみた。

著作権法における「親告罪」の見直し
悪質化・巧妙化する海賊行為を積極的に取り締まるため、著作権法における親告罪の取り扱いを見直すべきではないか。

<親告罪>
親告罪とは、被害者等による「告訴」がなければ公訴を提起することができない罪をいう。「犯罪自体が比較的軽微であって、被害者等の意思を無視してまで訴追する必要がない場合(例:過失傷害罪)又は被害者等の意思を問わず訴追することが却って被害者等の利益に反する場合(例:名誉毀損罪)に、その罪は親告罪とされる」(林修三ほか編「法令用語辞典」)。なお、告訴を欠く公訴は、訴訟条件を欠くものとして判決で公訴棄却とされる。
現在、海賊行為(著作権等侵害)については、著作権法において親告罪とされている。他に親告罪を採用している罪としては、過失傷害、名誉毀損、親族間の窃盗・恐喝、非営利目的の略取・誘拐、器物損壊等がある。

(1)背景
  • 海賊版の氾濫は、コンテンツ産業への脅威となり、イノベーションの促進を損なうとともに、犯罪組織の資金源となり得ること等、社会にもたらす重大な悪影響が指摘されている。
  • このような指摘を踏まえ、強力かつ効果的な取締を推進していく必要があるが、海賊行為を親告罪としておくことにより、以下のような取締上の支障又はリスクが生じている。
    • 海賊行為が巧妙であったり、権利者が複数存在していることで権利関係が複雑になっている場合には、告訴権者による侵害の立証、関係者の調整等が困難であり負担が大きくなる。
    • 告訴権者が中小企業、ベンチャー企業等、資力や人員の制約が大きい場合には、負担を考慮するあまり、告訴を躊躇する恐れがある。
    • 親告罪は、刑事訴訟法により、「犯人を知った日から6ヶ月を経過したとき」は告訴が不可能になる。そのため、侵害事実の立証に時間が掛かる場合や、何らかの事情で告訴を躊躇した場合には、出訴期間が経過してしまう事態が発生し得る。出訴期間が経過すれば、起訴及び没収を含む科罰が不可能になる。
  • 海賊行為のなかでも、商業的規模に達しているもの、あるいは営利目的によるものについては、文化の健全な発展及びコンテンツ産業の発達にとって明白かつ重大な脅威であること、獲得した金銭は犯罪収益として犯罪組織の資金源になり得ること、動機が悪質であること等、反社会性が高く、経済的な悪影響も大きい。
    このような悪質な事犯については、国際組織犯罪の防止・根絶という観点からも、その撲滅を目指して特に強力な取締を推進する必要があるが、現行の著作権法が一律的に親告罪として取締に制約を設けていることは、制度として適当ではないとの指摘がなされ得る。
    なお、特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び育成者権の侵害行為については、非親告罪となっている。また、不正競争防止法違反については、営業秘密にかかる不正競争行為を除き、非親告罪となっている。
  • 他方、親告罪の扱いについて、次の点が指摘されている。
    • 著作権等についての意識が十分でないことから、日常的な活動の中で著作権侵害が生じてしまうことも少なくないため、非親告罪化した場合に第三者による告発の濫発の恐れがある。
      (2002年11月文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会における指摘)
    • 他人の著作物をコピーするような行為は、「他人の土地に入り込んでいる」という場合と同様に、客観的には「了解を得ているかどうか」が不明であるし、仮に了解を得ていないとしても、権利者が「まあいいや」と思っている場合には問題ない。
      (※ 親告罪を採用している理由:「著作権テキスト(平成18年度)」文化庁)
(2)具体的方策
著作権等侵害のうち、一定の場合について、非親告罪化する。
「一定の場合」として、例えば、海賊行為の典型的パターンである営利目的又は商業的規模の著作権等侵害行為が考えられる。
営利目的の侵害行為は、その様態から侵害の認定が比較的容易であるとともに、他人に損害を与えてまで金銭を獲得するという動機は悪質である。また、営利目的ではなくても、例えば愉快犯が商業的規模で侵害を行った場合には、権利者の収益機会を奪い、文化的創造活動のインセンティブを削ぐなど、経済的・社会的な悪影響が大きい。

(3)参考
  • 主要先進国の状況
    米国は職権起訴が可能であり、またドイツは親告罪を採用しているものの、特別な公益上の必要性を認めた場合には、職権起訴が可能。EUでは、商業的規模(commercial scale)であるもの等一定の知的財産権侵害にかかる刑事手続に関し、被害者による通報又は告訴を待つことなく、捜査又は起訴を可能とするよう要求するEU指令を提案している(2006年4月改正提案)。
  • 文化審議会における議論 2002年11月に開催された文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会において、次の指摘がなされている。
    「著作権侵害が親告罪である理由の一つが私益であるということだが、刑法上の窃盗・横領・背任などは全部私益であるが、これらは親告罪にはなっていない。」
    「著作権侵害は、懲役が3年以下(注:2002年11月時点)とされていることから、法益が軽微なものではないと考えられるため、親告罪にする必要はないのではないか。このような重大な犯罪行為が行われているのに、告訴期間を過ぎてしまい、引き続き堂々と侵害行為が行われているというような状況は、著作権侵害に対する規範意識を失わせる原因となっているのではないか。」
    「6ヶ月という告訴期間はあまりにも非現実的である。刑事告訴をする場合も発見してから告訴するまでの間に、弁護士の依頼や料金の算段、被害事実についての資料の作成などをしなくてはならず、6ヶ月は短かすぎる。」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/cycle/dai8/8siryou2.pdf


ようは海賊版をなんとかして、著作権者の利益を守れるようにしたい・・・ってことのようだが。

その判断を警察・司法がするのか。
どうやって判断するのかねぇ。

海賊行為のなかでも、商業的規模に達しているもの、あるいは営利目的によるものについては、文化の健全な発展及びコンテンツ産業の発達にとって明白かつ重大な脅威であること、獲得した金銭は犯罪収益として犯罪組織の資金源になり得ること、動機が悪質であること等、反社会性が高く、経済的な悪影響も大きい


つまり、このゾーンに入ってるものに関して取り締まりたいわけか。

の割には、

  • 「一定の場合」として、例えば、海賊行為の典型的パターンである営利目的又は商業的規模の著作権等侵害行為が考えられる。
  • 営利目的の侵害行為は、その様態から侵害の認定が比較的容易であるとともに、他人に損害を与えてまで金銭を獲得するという動機は悪質である。
  • また、営利目的ではなくても、例えば愉快犯が商業的規模で侵害を行った場合には、権利者の収益機会を奪い、文化的創造活動のインセンティブを削ぐなど、経済的・社会的な悪影響が大きい。


ずいぶんと適用範囲が広いな。
これを警察・司法が判断する?

「他人に損害を与えてまで金銭を獲得するという動機」とか、
それを著作権者に判断を仰がずにやりますかヽ(´д`)ノ

「文化的創造活動のインセンティブを削ぐ」って、言葉は立派ですが、
その判断は誰がするんですかね?
またその線引きは?
「経済的・社会的な悪影響」とは、どのくらいの規模から言うんでしょう。

確かに、現在の海賊版問題とかに関しては、なんらかの手を打つ必要はあるが、
「一定の場合」という曖昧な定義だと、なんでもかんでも警察・司法の独断で
その範囲が左右されかねない。

まぁ、これを読む限り同人活動とかは要件を満たしてなさそうだが、
数千万円単位で稼ぐ同人作家とかは、やはり問題だろうとは思う。

でも、それを許容できるかできないかの判断を下せるのは、
元ネタの著作権者であって警察・司法ではないわな。

海賊版DVDや海賊版ソフトなんかは、完全にアウトだろうが。
当然、アウトでいいんだがね。むしろ、滅ぼせくらいで。
これを取り締まるための案件であれば、それに的を絞った形で話しあってくれんかね。

いくらなんでも、上記の「著作権法における「親告罪」の見直し」では、
その適用範囲が広すぎる&警察・司法裁量の影響が強すぎるからな。

それに・・・
国内の問題よりも遙かに鬱陶しくて大問題な、
お隣のパクリ国家をなんとかする方が先だろうに。
規模も影響も比べものにならんのだからヽ(´д`)ノ


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蝦夷王

著作者本人がパロディの同人誌読んでゲラゲラ笑ってたりする場合もあろうかと思われるところですが。

途中に「刑事訴訟法」の話が出て来ますが、そっちを変えたら? とか思います。
暫定的に訴訟を起こす権利を保留出来るようにする措置を講じるとか。
by 蝦夷王 (2007-05-22 13:10) 

チェシャ猫(>_<)。

>蝦夷王さぬ

そっちも同時に変えるように考えればいいのに。
なんでこうも極端から極端へいきたがるのかヽ(´д`)ノ
by チェシャ猫(>_<)。 (2007-05-22 15:16) 

「著作権法問題」 勉強になります(^ω^)

グレーゾーンが曖昧なような・・?

言われる通り、知的財産権保護と知能に問題のある特亜のパクリの方が大問題です。
by (2007-05-22 16:17) 

チェシャ猫(>_<)。

>maryjuneさぬ
>特亜のパクリの方

そっちをほんと、なんとかせんと、
日本のいろんなもんが食われるのになぁ。

実際、くれよんしんちゃんとかの版権は
裁判で負けるというワケワカメな事態も起きてるしな、
某盗人国家でヽ(´д`)ノ
by チェシャ猫(>_<)。 (2007-05-22 16:49) 

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